輓曳見聞録

 

 そのイベントとは、道化師が風船をいろんな形にしているイベントであった。

      

 妙に背の高い道化師(足が2mくらいある)が、風船を膨らましては、犬やら葡萄やらを作って子供に渡している。奥の方には着ぐるみのマスコットキャラが2体うごめいているのが見える。JRのキャンペーンらしいが、道化師は関係ないだろうと思った。

 ゼファーが調べてきた発車時刻が迫っているらしく、我々は一路、列車の乗り場へと急いだ。

 まず、乗り場を間違えた。逆方向行きの列車に乗るところであった。よく調べた上、正しい乗り場にたどり着いた。私はこういう、「数ある交通機関から正しいものを選択せよ」というシチュエーションにたいへん弱く、ほとんどゼファー任せであった。やはり本州人は違う。

 そして、来た列車に意気揚々と飛び乗った。車内で食べ飲みするものも既に入手済み。私などは既にビールを片手にしていた。岩見沢までは1時間弱で着くらしい。

 「今乗っている列車は、岩見沢までは行かない」ということに気付いたのは、実は乗る直前であった。半ばヤケで、意気揚々と飛び乗ってみたのである。そもそも、ゼファーの「これ乗ってみればいいんじゃないのか」は、今考えると非常に怪しかった。「おお、そうみたいだ」と同意した私の行動も、今考えると非常に怪しかった。この辺から、我々の旅行は「競馬場に着くまでがばんえい競馬」という様相を呈しはじめる。

 とはいえ、岩見沢に近づいていることは事実で、札幌と岩見沢の中間にある終点「江別」で下車。

 いい感じに「田舎の駅」って感じである。そんな風景を堪能しつつ、我々は、

A 岩見沢行きの鈍行が来るのを待った。

B 名前に惹かれて「たかさご」へ向かった。

 

うっかりホームまで戻ってしまう。

 


2005 ufy Takahashi